【マーケットニュース】今週揺れ動いたユーロ市場の裏側

今週、外国為替市場でユーロの下げがきつい展開でした。イタリアの政局不安に加え、スペインの政治リスクが懸念されていることが背景です。欧州中央銀行(ECB)の金融政策の正常化に支障が出かねない状況がと言えたかもしれません。イタリアでは、組閣を巡るポピュリズム(大衆迎合主義)政党と大統領の対立が激化し、早期再選挙の可能性が高まったとの見方などでイタリア国債利回りが急騰してしまい、外国為替市場では一段のユーロ安が進む展開となりました。また、イタリアがユーロから離脱しかねないとの懸念も高まり、ネガティブスパイラルからのユーロ売りを誘発させました。

 29日の欧州市場でユーロは対ドルで続落となり、一時1ユーロ=1.1510ドルと約10カ月ぶりの安値を記録し、対円でも一時1ユーロ=124円62銭と、約11カ月ぶりのユーロ安・円高水準を付けました。グローバルに世界配分する投資家は株式などリスク資産配分を減らす必要にも迫られ、29日のNYダウは一時500ドル超の下落と5月に入って最大の下げ幅を記録しました。イタリア国債の利回り急上昇を起点とした、「イタリア・ショック」と言えたかもしれません。東京株式市場の日経平均も約1カ月半ぶりに一時2万2000円を割り込む展開となりました。マッタレッラ大統領は28日、国際通貨基金(IMF)元高官のコッタレッリ氏を首相候補に指名して組閣を命じましたが、ポピュリズム政党「五つ星運動」と極右「同盟」は実務者内閣を拒否して議会で信任しない構えを見せ、早期再選挙の観測が強まった状況でした。コンテ氏は27日、マッタレッラ大統領に、反欧州連合(EU)を主張してきたサボナ元産業相を財務相として入閣させようとしましたが、大統領との折り合いが付かなかった模様でした。政治空白を埋めるための暫定政権となり、再選挙の実施は避けられない情勢とも言え、為替市場は今後大きくぶれる可能性も否めない状況でした。政治の先行き不透明感からイタリア国債は売られ、イタリア10年物国債利回りは29日、一時3.4%近辺と約4年2カ月ぶりに上昇し、イタリア株式市場ではイタリア大手銀行のウニクレディトなど国債を多く持つ銀行株が急落となりました。市場の一部では、イタリア発の金融システム不安を市場がリスクとして意識し始めました。投機筋は財政悪化による「悪い金利上昇」を標的としてくる可能性も否めない展開でした。

 ユーロ下落が懸念されたのか、イタリアの大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」が31日、連立政権樹立で再び合意しました。これにより、総選挙から3カ月続いた政治空白が解消される見通しですが、両党が公約する歳出拡大計画について、金融市場は引き続き警戒しています。両党は先週、法学者のコンテ氏を首相に起用し、ユーロ懐疑派エコノミストのパオロ・サボーナ氏を経済相とする組閣案を提出しましたが、マッタレッラ大統領がサボーナ氏の指名を拒否したため、組閣は暗礁に乗り上げ、再選挙の可能性が出ていた状況でした。その後の協議で、両党はサボーナ氏を経済相から外すことで合意し、31日に連立政権の樹立で再び合意となったわけです。コンテ氏を首相に再指名したことが明らかになりました。注目された経済相人事では、知名度の低い経済学者のトリア氏を起用し、サボーナ氏は欧州担当相に指名されました。コンテ氏ら閣僚は本日、宣誓就任しました。新内閣に対する上下両院での信任投票は来週実施される予定です。連立合意により、市場は、ユーロ圏残留を巡る事実上の国民投票となり得た再選挙が回避されましたが、イタリアの債務増加につながる新政権の大型歳出案を新たに懸念する可能性が高くなったわけです。

 また、スペイン国内では与党国民党のメンバーによる汚職問題を巡り、ラホイ首相の退陣要求が強まっている状況です。5月31日に不信任決議案が審議に入り、本日6月1日にも採決の見込みです。当面、円高圧力がかかりやすい地合いで日本株にもネガティブに寄与する状況が続きそうです。

【注目される日米首脳会談】 
来週、米国では5日に5月ISM非製造業景況指数が発表されます。4月は市場予想(58.0)を下回っただけに、結果内容が持ち直しを示唆するか注目されます。 国内では8日に1-3月期実質GDP成長率(2次速報値)が発表されます。7日には日米首脳会談(於米ホワイトハウス)、8-9日にはG7(主要7ヶ国)首脳会議(於カナダ・シャルルボワ)が開催される予定です。

【どうなる米雇用統計】 
米ADPが30日発表した5月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から17万8000人増となりました。市場で予測(18万7000人程度)されている内容から下回った結果です。前月の雇用増も20万4000人から16万3000人に大きく下方修正されています。米労働省が日本時間の今晩発表する5月の雇用統計について、市場は非農業部門の雇用増加数が19万人程度と見ており、平均時給は前年同月比で前回と同じ2.6%増となっています。

 

▶ 田代岳 「欧州の視点で読み解くマーケット」更新日: 6月1日

田代岳

今週のマーケットはイタリアの政局に振り回されました。 イタリアは3月の総選挙でどの政党も過半数を獲得できずに組閣ができませんでした。 ポピュリズム政党の五つ星運動と右派の同盟の連立協議が合意しコンテ首相候補が組閣作業をしましたが、サボナ氏の財務相起用をマッタレラ大統領が拒否したために組閣断念。サボナ氏は反ユーロで、マッタレラ大統領はここに懸念を示しました。   
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▶ 成田博之「需給動向と相関が語る世界」更新日:5月 31日

成田博之

■今週のピックアップ銘柄:シカゴ大豆類
米国は世界最大の大豆生産国・輸出国であり、その動向は大豆の国際需給と国際大豆価格に大きな影響を与えますが、大豆価格は、需要主導の「需給相場」と供給主導の「天候相場」によって変動します。 一般的には、豊作による需給緩和と在庫増は売りを誘って値下がりに、不作による需給逼迫と在庫減は先高期待から買いを誘って値上がりにつながります。 
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▶ 山中康司 「テクニカル分析に強くなるオートチャーティスト」更新日: 5月 31日

山中康司

まず、先週のストラテジの振り返りです。前回も選択肢が少ない中でUSDJPY以外はマイナーな通貨ペアとなりました。 (1)USDJPYの売り(シグナル点灯5月23日)TP=108.03、SL=111.40 先週執筆時点のレートが109.718、その後のレンジは108.11~109.76とイタリア政局の混乱を背景としたリスクオフ相場が円買いの動きとなりました。29日には一時108.11レベルへと水準を下げたことで、上昇相場のスタート地点まで戻す動きを見せましたが、わずかにTPに届かず、その後はリスクオフの巻き返しの動きから30日には一時109円台に乗せる動きも見られました。今回は執筆時点のレートで成行決済としますので108.575での利食いとなり、+114.3pipsの利益となります。       
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▶ ユーロが大幅下落。EURUSDは1.1510ドルEURJPYは124.60台まで。

今週はイタリアの政局不安に加えスペインの政治リスクも懸念されたためユーロが大幅に下落しました。 一時、対ドルで10ヵ月ぶりの安値である1.1510、対円では11ヵ月ぶりの安値である124.60台まで売られました。 その後イタリアの組閣が承認された事により、安堵が広がり値を戻してきていますが、引き続き今後の展開に 警戒する必要があるかもしれません。まずは本日21時30分に発表される米国雇用統計に注目が集まっています。 


▶ NYダウは一時前日比500ドル超下落。5月最大の下げ幅を記録。

暫定首相に指名されたカルロ・コッタレッリ氏が組閣に向け主要政党の支持を取り付けられず、 7月29日にも再選挙が実施される可能性が浮上したため、安全資産とされる米国債が買われ、米10年債利回りは低下する展開に。 これにより特に銀行株が大幅に売られ、NYダウ30平均(US30.i)は前日比で一時500ドルを超える下げ幅となりました。 当社では約27万円程の証拠金からNYダウ30平均(US30.i)に投資することができ、買いからも売りからも入ることができます。  

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